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- Loved you -
勘違いをしていた。貴女にも自分の人生があるというのに。貴女は何か悩んでいるようだった。今度は俺が貴女を救いたいがために、「きっと大丈夫」なんて月並みな言葉を並べた。しかしその偽善で取り繕われたような優しさは無駄に終わった。「あたしね、愛する人ができた」その言葉が貴女の口から放り出された時、俺は何も言い返せなかった。勘違いをしていた。決して俺のための貴女ではなかったのだ。思い返せば、貴女に愛の言葉を囁かれたことはなかった。嘯くこともせず、真直な瞳には、きっと俺の心の内が映し出されているのだろう。いつから勘違いをしていた。恥をかかせたいのか?時が俺を見捨てたのか?何もかも解らない。俺はどうしようもない馬鹿野郎。だから彼女は行ってしまった。また独りだ。
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